
これは、歪みを抱えたまま、
少年は、世界を憎んだ。
The boy learned to loathe the world.
少女は、自分を否定し続けた。
The girl erased herself, piece by piece.
世界は、人間のままで叫ぶことを許さなかった。
The world wouldn’t let them scream and stay human.
———STORY———
東京が、一人の少年を中心に壊れはじめた。
それが、すべての始まりだった。
十数年前、東京を襲った原因不明の大規模災害。
数千人がほぼ同時に“人間ではなくなり”、街の一部は地図から消えた。
災害の中心で目撃された、ひとりの少年。
政府はその素性を封印し、彼を《少年A》と呼んだ。
直前に観測されていた、既存のどの規格にも属さない周波数。
極秘裏に《ノイズ》と名づけられたそれは、事件の記録とともに社会から抹消された。
壊滅区域はやがて、国家主導の復興特区として再建される。
《首都復興庁・第四特別管区》。
通称、《第四区》。
新宿と渋谷のあいだに残された、東京の傷跡。
——だが、災害は終わっていなかった。
この街では、人間が消えていく。
声だけを残して。
影だけを残して。
ときには、人ではない姿を残して。
夜になると、東京の空に白い羽根が舞う。
それが救いなのか、次の災害なのかは、まだ誰も知らない。
そして現在——
東京には、ノイズを聴き、
この世界に顕現させる少年がいる。
かつて、東京を壊した少年のように。
その名は、鳴海 響。
———CHARACTERS———
鳴海 響
都内の私立高校に通う二年生。
ノイズ災害から世界の“歪み”が聞こえるようになった。
誰にも説明できず、信じてはくれない。心を閉ざした響にとって、
兄・奏だけが、唯一の理解者であった。
だが、奏は何も告げずに世界から姿を消してしまう。
そして親友・藤本律の死を境に、
歪みはノイズとして顕現し、現実を侵食し始める。
何も聞きたくない。誰にも関わりたくない。
それでも、自分を理解してくれた兄が消えた理由だけは知りたい。
兄が遺した《HEADROOM》を首にかけ、
東京のノイズの中に残された、奏の痕跡を探すために
響は今日も、聞こえすぎる東京の中を歩いている。
「———お前には聞こえないだろ」


伊藤 詩音 ・七瀬 シオン
響と同じクラスに通う、ノイズ災害の被害者。
両親を廃人化されて以来、感情を隠し、教室ではひとり遠くを見ている。
ただ、いつも楽しそうに笑う響と律のことだけは、なぜか気になっていた。
夜になると《七瀬シオン》を名乗り、
制服も本名も置き去りにして、《BOILER》周辺や新渋谷を彷徨う。
帰る場所も、会いたい相手もいない。
ただ、昼間の自分ではいられないから。
「———誰かの記憶に残るって、そんなに幸せなのかな?」

藤本 律
都内の私立高校に通う二年生、藤本律。
響と幼馴染でもある彼は、どこか世界から距離を置いて生きている響を、
放っておくことのできなかった唯一の親友。
原因不明の事件に巻き込まれ、その短い生涯を終える。
だが、死んだのは肉体だけだったのか。
律の魂はどこへ消えたのか。
そして最後まで口にできなかった、響への本当の想いは、
この世界のどこに残されたのか。
今もまだ、この世界のどこかで、
響の名を呼び続けているのかもしれない。
「———センセ、響はヘッドフォン取ったら死んじゃう」

鳴海 奏
突如失踪した、響と8つ離れた実の兄。
響と同じくノイズを知覚できる、響にとっての唯一の理解者。
幼い頃に読んだ、神に呼ばれた少年の物語に影響を受け、
自分の異常を“呼び声”や“使命”として受け取るようになる。
ノイズ災害を経て、公安機関《GRID》に所属。その後、恋人の雨宮祈を
事故により失う。ノイズ対策として開発されたプロトタイプ、
《HEADROOM》を響に遺した後、消息を断つ。
雨宮 祈 / GRID 研究員
失踪した鳴海奏の恋人であり、GRIDエンジニア部門の研究員。
奏と共に《HEADROOM》を開発した、聡明で芯の強い女性。
他人のために自分を削り続ける奏に、自分自身の価値を教えた。
しかし研究所内で起きたノイズ事故により、異形へと侵食され廃人化する。
彼女を取り戻すため、奏は残留ノイズを増幅する技術・この情報は削除されました。
だがその技術はやがて・この情報は削除されました。
世界を災厄へ導く引き金となる。
「——あなたが守ろうとしている世界に、あなた自身は入ってる??」

——————TOKYO UNDERGROUND——————
BADD BOIIZ / 灰谷 レヲ
新渋谷と第四区を根城にする無法の少年達、BADD BOIIZ。通称《BAD》
暴行、恐喝、強盗、違法ドラッグ、詐欺、闇バイト、
縄張りはあっても、少年犯罪にルールはない。
集まるのは、憎しみや痛み、消せない過去を抱え、
もう自分では止まれなくなった者たちだけ。
その中心に立つのが、灰谷レヲ。
災害後、レヲの身体には異常が起きた。ノイズの存在を知った彼は
《HEADROOM》、《白い羽根》、《少年A》や相次ぐ失踪事件など、
裏社会のさらに深くで蠢く、得体の知れない異常に触れていく。
そして散らばっていた点は、ある日ひとりの少年へ繋がる。
レヲは、自らの身体に起きた異変の答えを奪うため、少年を追う。
「———あぁ? 俺が強ぇのは、俺の都合だバカ」

KriminaL / ペク・テユン
白 泰潤。地下ビジネスを生業とする《KriminaL》のナンバー2。
表向きは錦糸町を中心に、ホストクラブEGO-ISTグループを
束ねるオーナー。
裏社会の異名は「顔削ぎ」。東京で一番冷たい暴力。
灰谷レヲとは深い因縁がある。
父親は天戸会の会長、白一政。名を捨て、韓国姓を名乗っている。
白い肌と端正な顔。その美しさのまま、赦しを乞う声が途切れるまで
壊してゆく彼は、他人の感情を歪みとして認知できる。
《少年A》を知っている存在のひとり。
「———みんな自分だけは違うと思って来るんだ(笑)———」

LØ END / 牛尾 大河・ルーカス
地下格闘《LØ 'BOUT》を無敗で圧倒、関東中の半グレ集団《LØ END》を
叩き潰し、その頂点に立った無敵の怪物。
妹・牛尾優里が正体不明の「黒い何か」によって廃人化したことを機に、
妹を救えるかもしれない手掛かりを見つける為、
得体の知れない闇へたった一人散らばる謎を追い
気付かぬまま、第四区と《ノイズ》の深層に近づいていく。
その先にあるのは、優里を救う答えか。
それとも、二度と戻れない闇か。
その拳は、妹を救う答えに届くのか———
「——————俺が欲しいのは、優里が起きる朝だ」

帮伽藍 (バンガラン)
新宿と香港、その二つの都市の地下に根を張る集団《幫伽藍》
第四特別管区にも多数のフロント企業を構えている。
頭領タオのもとには、獲物を逃がさない《百足》と、
死体も痕跡も街の一部に戻す《清掃班》がいる。
《ノイズ》、《首都復興庁》、《SYLEИTH 》、《GARDEN》
そして・この情報は削除されました。
世界が歪むほど、仕事は増えていく。
タオはある研究機関に巨額の投資を十数年間、行っている。
大同ではなく大序のために。
「この街はまだ工事中だ。人間もね———」


玲 / 鈴 (リン / レイ)
旧渋谷の片隅に、時折現れる二人の少女。
同じ背丈、同じ白い髪、よく似た顔立ち。人々は彼女たちを双子だと思っているが、二人自身にもそれを確かめる記憶はない。
二人は《ノイズ》の存在を知っている。
それが人間をどう壊すのかも、誰がそれを利用しているのかも。
ただ生き延びたいわけではない。
求めているのは、命令されることも、誰かの所有物になることもない、
本当の自由。——だが、彼女たちが隠れているのは、追われているからだけではない。
「——チッ、マジでダルいな・・・ 玲、コイツら捲るよ——」
権藤(シェフ)/ Hell's Kitchen
旧渋谷で合法CBDディスペンサリー《Hell’s Kitchen》を営む男。
アメリカ、コロラド州生まれ。アメリカ陸軍の軍医として中東の戦場に従事、
その後は妻の意思で日本国籍を取得した。
《ノイズ災害》後に解禁された輸入CBDを中心に、
鎮痛、睡眠、精神安定を目的としたさまざまな品を扱う。
そして権藤は、《ノイズ》に侵された人間を見ても驚かない。
まるで——
東京で災害が起きるより以前から、それを知っていたかのように。
「————あと、帰りにシュークリーム買ってこい。」


罰点
アングラのラッパーとして活動する、
都内のどうでも良い情報を知り尽くしている男。
ラップのスキルはいまいち。《BOILER》ではイベントのMCを務めている。
見た目は厳ついが食べ方だけは妙に綺麗、高級菓子の名前に詳しい。
実は第四区の復興事業に関わる資産家の家に生まれた元お坊ちゃま。
父の仕事を通じて第四区に出入りするうち、そこで初めて自分の居場所を見つけた。
見た目も実家も太いが、実家のことは秘密。地元は下町と言い張る。
「——Hey bro, ここ、治安悪いとか言うなよ。悪いのは一部だから。
まあ、だいたい一部だけど——」
ベーコン
灰谷レヲのペット。


BOILER
新渋谷と第四区の境界線に建つクラブ。
ノイズ災害によって一度、地図から消失したその封鎖跡地に、
何事もなかったように建てられた。
二階のメインフロアと、地下深くに沈むもうひとつのハコ。
ヒップホップ、テクノ、ロック、ノイズ——夜ごと異なる音が鳴り、週末には入場列が明け方まで途切れない。
だが、BOILERの名を広めたのは音楽だけではない。
地下トイレの鏡には、存在しない人間の顔が映る。
個室から出た者の表情が、黒い何かに歪められていた。
午前四時を過ぎると、地下にはないはずのフロアへ続く階段が現れる。
そんな噂が、何年も消えずに残っている。
それでも人は、毎週ここへ集まる。
音に酔うためか。
それとも、自分の中にある何かを、壊してもらうためか。
???
・この情報は削除されました。


???
・この情報は削除されました。
???
・この情報は削除されました。


《HEADROOM》
《GRID》によって開発された、ヘッドフォン型のノイズ抑制デバイス。
鳴海響が所有する個体だけは、設計記録に存在しない
・この情報は削除されました。が追加されている。
その目的も、起動条件も不明。
機密を知る者の所在も、確認されていない。
SYLEИTH
人間の歪みを「進化」と呼び、ノイズに人工的な倍音を加え、
ノイズの人工顕現を繰り返し物理現象として顕現させる研究施設。
第四区で発生した複数の事件との関連が疑われている。
代表者および研究施設・この情報は削除されました。


《GARDEN》
・この情報は削除されました。